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パタゴニアトークイベント「小川山のこれまでとこれから」が開催
9月30日(土)、長野県川上村の廻り目平にてパタゴニアによるトークイベント「小川山のこれまでとこれから」が開催された。
トークイベントには長年に渡って小川山クリーンクライミングのイベントを開催してきた藤原守さん、小川山マラ岩に「Pass it on」を拓いたプロクライマーである倉上慶大さん、日本のクライミング黎明期から登り続け、近年では『瑞牆ガイドブック』、『小川山ガイドブック』を手がけた内藤直也さんが登壇した。
第1部では内藤さんを中心に、小川山黎明期から今日に至るまでの歴史を振り返る内容となった。グラウンドアップにて先人達が拓いたトラッドの時代、ヨーロッパのスタイルに強く影響を受けたボルトの時代など、小川山を代表するルートを例に挙げながら各時代を経験した内藤さんがエピソードを語った。
会場には多くのクライマーが訪れており、なかにはカサブランカの初登者である竹本俊博さんも参加しており、内藤さんから初登攀時の様子を聞かれる一幕もあった。今ではすっきりとしたラインで小川山を代表するクラックルートとなったカサブランカだが、初登時には泥や草木が詰まって掃除が必要なほどだったという貴重なエピソードが語られた。
第2部は藤原さんが24回に渡って開催してきた「小川山クリーンクライミング」について振り返った。今でこそ川上村はクライミングの聖地としてパンフレットやポスターが作られているが、かつてはクライマーと村は良好な関係ではなかったそうだ。事故などもあり一時は小川山が登攀禁止になりかねない事態にもなったという。そんな厳しい状況の中で、藤原さんは清掃活動や地域との交流を地道に行なって信頼関係を築いたのだそう。そんな小川山の裏方の活動を知ることができる藤原さんの話だった。
小川山が辿ってきた歴史を通してクライミングを知り、今後のクライミングについての話題も挙がった。倉上さんは「これまでのクライミングシーンではスタイルを評価することが多かった。しかし、これからはクライミングスタイル自体ではなく、その選択を評価していくことになるかもしれない」と話した。よりリスクの高いもの、より難しいものだけが評価されるのではなく、数あるスタイルやルートの中で自分なりの表現をしていくことがクライミングの新しい未来になることを予感させた。
(編集部)